インタビュー
新しい時代の日韓宣教協力とは
トーチ・トリニティ神学大学院宣教学部長
高見澤栄子さん
韓国のトーチ・トリニティ神学大学院で教鞭を執る高見澤栄子さんに、 日本と韓国の宣教協力、またこれからのアジア宣教について聞いた。
高見澤栄子さん
韓国のトーチ・トリニティ神学大学院で教鞭を執る高見澤栄子さんに、 日本と韓国の宣教協力、またこれからのアジア宣教について聞いた。
――現在、韓国の神学校で教えておられるわけですが、なぜ韓国だったのですか。
高見澤 私はトリニティ神学校を卒業して、アメリカに残る気は全然ありませんでした。アジアに重荷があったからです。そこでまず日本の神学校で教える道を探そうとしましたが、私が仕えられるところはありませんでした。ちょうどその頃、トリニティが韓国に神学校を開校しようとしていました。ただ、韓国の教会は高学歴社会で、Ph.D(博士号)を持っている人がたくさんいましたから、韓国で日本の女性の私が教える道など開かれるはずはないと思っていましたね。しかしある日、学長室から「韓国のトリニティがあなたを招きたいと言っていますが、関心がありますか?」と訊いてきました。とても不思議な思いがしました。また、まずは日韓の問題が横たわる韓国に足を踏み入れてからでないと、他のアジア諸国に出て行ってはいけないとも思いました。
――行ってみてどうでしたか。
高見澤 最初の授業で学生たちがどういう態度だったかというと、こうやって腕組みをして、「日本人が一体私たちに何を教えるというんだ?」という顔をしていましたね(笑)。経済やテクノロジーのことならまだしも、キリスト教に関しては自分たちがはるかに上だと思っているので、日本人から何を学ぶというんだ、と。
また私は、神学校で教えることと同時に、学生寮の寮母のような仕事も頼まれました。世界各国から来た学生と韓国の学生が40人ほど、毎日一緒にご飯を食べて一緒に暮らしたんです。
ある時サッカーの日韓戦があって、みんなでテレビを観ていました。もちろん、韓国人は韓国を熱烈に応援します。でも、日本が勝っちゃったんですね。もうみんな、その辺りの物を投げて悔しがっていました。その時、パク君という一人の男子学生が急に立ち上がって、「日本のものはいっさい買うなー!」と叫び、ドアをバタン!と閉めて出て行ってしまったんです。
私は「神さまどうしましょう?」と祈りました。そして、まずは彼と仲良くなる必要があると思わされ、後日話しかけました。冷たい態度でしたね。でも神学生たちに訊いたら、彼は卓球が上手だということが分かり、「パク君、卓球を教えてくれない?」と頼みました。彼はしぶしぶ了解してくれて、やがて卓球のサークルができました。
毎日やっていると、互いに情が生まれてくるんですよね。そして日本人と韓国人というより、同じ寮に住む神の家族、という感じになってきて、半年後には私の荷物を持って歩いてくれるまでになりましたよ。やはり、彼らと一緒に暮らして、泣いたり笑ったりしているうちに、氷が溶けるように関係が変わってきたんです。最近は、彼らから「お母さん」と呼ばれています。以前は、「お姉さん」だったんですけどね。(笑)
――韓国の人たちに、どういった心で接して来られたんですか。
高見澤 やはり、私は日本人が彼らに何をしたかを知っていますので、まずは「赦してください」という思いです。三・一独立運動の記念日には、インターナショナルの学生たちを連れて提岩里教会を訪れ、日本軍がそこの村人を教会に閉じこめて虐殺したことなどを日本人として説明しました。
このようにして、韓国の学生たちともかなり理解し合えるようになってから、こう言いました。「でも、日本人が極悪だからやったとは思わないでください。インドはイギリスからそういう目に遭い、またインド人は東北インドのナガランドの人々をひどい目に遭わせました。日本人だから、ではなく、人間の罪がそうさせたということを見て欲しいのです。」
今、私の周囲で「日本人はこんなことをしたんだぞ」と言う人はいません。インターナショナルの学生たちからは、私が韓国人を特別に贔屓していると見られたことさえあって、それはむしろ嬉しかったですね。
高見澤 私はトリニティ神学校を卒業して、アメリカに残る気は全然ありませんでした。アジアに重荷があったからです。そこでまず日本の神学校で教える道を探そうとしましたが、私が仕えられるところはありませんでした。ちょうどその頃、トリニティが韓国に神学校を開校しようとしていました。ただ、韓国の教会は高学歴社会で、Ph.D(博士号)を持っている人がたくさんいましたから、韓国で日本の女性の私が教える道など開かれるはずはないと思っていましたね。しかしある日、学長室から「韓国のトリニティがあなたを招きたいと言っていますが、関心がありますか?」と訊いてきました。とても不思議な思いがしました。また、まずは日韓の問題が横たわる韓国に足を踏み入れてからでないと、他のアジア諸国に出て行ってはいけないとも思いました。
――行ってみてどうでしたか。
高見澤 最初の授業で学生たちがどういう態度だったかというと、こうやって腕組みをして、「日本人が一体私たちに何を教えるというんだ?」という顔をしていましたね(笑)。経済やテクノロジーのことならまだしも、キリスト教に関しては自分たちがはるかに上だと思っているので、日本人から何を学ぶというんだ、と。
また私は、神学校で教えることと同時に、学生寮の寮母のような仕事も頼まれました。世界各国から来た学生と韓国の学生が40人ほど、毎日一緒にご飯を食べて一緒に暮らしたんです。
ある時サッカーの日韓戦があって、みんなでテレビを観ていました。もちろん、韓国人は韓国を熱烈に応援します。でも、日本が勝っちゃったんですね。もうみんな、その辺りの物を投げて悔しがっていました。その時、パク君という一人の男子学生が急に立ち上がって、「日本のものはいっさい買うなー!」と叫び、ドアをバタン!と閉めて出て行ってしまったんです。
私は「神さまどうしましょう?」と祈りました。そして、まずは彼と仲良くなる必要があると思わされ、後日話しかけました。冷たい態度でしたね。でも神学生たちに訊いたら、彼は卓球が上手だということが分かり、「パク君、卓球を教えてくれない?」と頼みました。彼はしぶしぶ了解してくれて、やがて卓球のサークルができました。
毎日やっていると、互いに情が生まれてくるんですよね。そして日本人と韓国人というより、同じ寮に住む神の家族、という感じになってきて、半年後には私の荷物を持って歩いてくれるまでになりましたよ。やはり、彼らと一緒に暮らして、泣いたり笑ったりしているうちに、氷が溶けるように関係が変わってきたんです。最近は、彼らから「お母さん」と呼ばれています。以前は、「お姉さん」だったんですけどね。(笑)
――韓国の人たちに、どういった心で接して来られたんですか。
高見澤 やはり、私は日本人が彼らに何をしたかを知っていますので、まずは「赦してください」という思いです。三・一独立運動の記念日には、インターナショナルの学生たちを連れて提岩里教会を訪れ、日本軍がそこの村人を教会に閉じこめて虐殺したことなどを日本人として説明しました。
このようにして、韓国の学生たちともかなり理解し合えるようになってから、こう言いました。「でも、日本人が極悪だからやったとは思わないでください。インドはイギリスからそういう目に遭い、またインド人は東北インドのナガランドの人々をひどい目に遭わせました。日本人だから、ではなく、人間の罪がそうさせたということを見て欲しいのです。」
今、私の周囲で「日本人はこんなことをしたんだぞ」と言う人はいません。インターナショナルの学生たちからは、私が韓国人を特別に贔屓していると見られたことさえあって、それはむしろ嬉しかったですね。
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