舟の右側
地引網出版
キリスト教雑誌 舟の右側

ワイチローの取材日誌

リバイバルジャパン取材日誌

愛を行う人が福音を語る

更新日:2012年3月15日

何ごとにおいても、「やり残したこと」というのは、いつかそれに向き合うべきときが来る。私にとっては、1年前の東日本大震災以降の取材活動において、岩手県北部が手つかずになっていた。

そこで昨日は、岩手県宮古市を取材。宮古コミュニティー・チャーチの岩塚和男牧師に同行して市内の仮設住宅を訪問した。岩塚牧師は、昨年の震災直後から被災者への支援を始め、もう1年になる。

日本各地、世界各国から届いた支援物資を、避難所、そして仮設住宅に配るという働きで、今では届け物がなくても「どうですか?」と、お話しをしに伺い、それが被災者の方々から待ち望まれている。

昨年の夏頃からは、物資の代わりに仮設にテントを張って「カフェ」を始めたところ、被災者の方からは「こっちを欲しかった」と言われたとのこと。つまり、人と人との交わりが出来る場所。状況の変化に応じた支援を続けてきた訳だ。

こうした働きのために、盛岡聖書バプテスト教会などが中継基地となって、日本各地、世界各国からボランティアが参集し、それぞれの仮設住宅などで継続的な支援が行われている。被災者からは、「年を越しても援助を続けてくれているのは、キリスト教と共産党だけだ」と言われているそうで、本当に有り難く思われているのが取材してもよく分かった。

また、短期的な「ボランティア伝道」に訪れたチームが、結果を出そうと無理な伝道を行った結果、キリスト教は立入禁止、となったケースもあったといい、それを岩塚牧師たちがもう一度関係を築き直し、再度、支援活動が出来る道が開かれた。

このような地道で継続的な、そして諦めない支援活動の結果、岩塚牧師たちは被災者の信頼を勝ち得て、今では個人的に福音を語れるケースも多々あり、「教会に行きたい」と言ってくれる人が何人も現れている。彼らのためには、日曜日の朝、教会のメンバーが仮設まで迎えに行っているそうだ。

取材を通して、こうした人々へのアプローチは、被災地だけのことではなく、日本各地の、被災していない地域でも応用できるものだと感じた。つまり、教会に人を集める、ということではなく、人々の生活の場に出て行き、そこで必要に応えていく。愛を行う人が福音を語る、という原則だ。また、岩塚牧師の奥様の琢子さんが地元宮古の人で、方言で挨拶をしながら入って行くと、とても安心して会話をしてくれるそうだ。

今回、仮設住宅を訪問する岩塚牧師に同行させてもらったが、独りで仮設に暮らすおばあちゃんは、訪問をとても喜んでいた。30分ほど会話して、岩塚牧師が「祈ってもいいですか?」と尋ねると、快く応じ、手を合わせながら最後に力強く「アーメン」と言った。昼間からお酒を飲んでいる初老の男性の住居も訪れたが、彼はMigiwaさんのコンサートに来てくれたそうで、「清らかな声が心にグッと入ってきた。あの人は東京から軽自動車に乗って来てくれた。ノーマルタイヤで。」と笑いながら感動していた。

この宮古の被災者たちは、クリスチャンたちが北海道や関西など遠くから来てくれることがとても嬉しいようで、彼らから来る手紙も、本当に嬉しそうに見せてくれるという。仮設で孤独になりがちな彼らは、「つながり」を求めている。自分のことを気にかけて心配してくれる人を求めている。

仮設での暮らしは、あと2年から5年ほどは続くだろう。隣とは板一枚の生活の中で、食べる物も充分ではない。あるおばあちゃんは、缶詰などを食べて暮らしていた。クリスチャンがやるべきことは、まだ多い。被災地域に置かれた「教会」を通して、被災者の方々を支援して行ければと思う。そして、私たちの地域社会においても、「つながり」を求めている人が多くいることを覚えたい。

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