リバイバルジャパン取材日誌
風知一筆8月4日号
リバイバル・ジャパン誌8月4日号に掲載したコラム「風知一筆」です。日本各地で、まだ教会に行ったことのない方が「イエス様!」と呼び求め始めることを願って書きました。
風知一筆
リバイバル・ジャパン編集長 谷口和一郎
主の御名を呼び求める伝道
歩くことが好きで、休みの日は家の近所を2時間ほど歩いたりする。最近はベアフットシューズといって裸足感覚で歩ける底の薄い靴があり、それを履いて歩くと何だか楽しいのである。近くには、高尾山や丘を抜けるハイキングコース、川に沿った道もあり、歩く場所には事欠かない。
そうして歩いていると、いろんな人に出会う。ある日など、犬を連れた中年の男性が、畑に向かって両手を差し出していた。農家の人でもなさそうで、近づいていくと“気”を送っていた。ハァァァァーという感じである。映画「となりのトトロ」でトトロが畑に気を送ると木が生えたので、その真似をしているのかもしれない。きっとそうだ。
またある日は、道の向こうから70代とおぼしき男性が歩いてきた。少し会釈をして通り過ぎようとしたら、そのおじいちゃん、立ち止まり、私の目を見つめてこういった。「亀が道を歩いてたんだよ…」。亀も道を歩くだろうよ、と思いつつふと見ると、右手に大きな亀を持っている。じぇじぇじぇ!
そこで、「大きな亀ですねー」と私が驚くと、少し得意げな表情をしつつ、「これ、陸亀ですかね?」と聞いてきた。しかし私は、亀の専門家ではないしムササビの専門家でもない。キリスト教の専門家とも言えないし、考えてみれば何の専門家でもない。しかたなく「山にいたんだから陸亀でしょうかね」と答えた。すると一言、「これ、どうしたらいいでしょう?」
どうするもこうするも、じいさん、なんで亀持って歩いてんの?と思ったが、瞬間的に、あぁ、川に放してあげたいんだな、と分かり、「じゃあ、川に放してあげたらどうですか?」と言ってあげた。すると、とてもスッキリした表情になって川に向かって歩いて行かれた。人は、誰かに背中を押して欲しいのだ。
散歩を続けながら、道というのは山道ではなくて車の通る道路だったんだ、と分かった。おじいさんは、浦島太郎のように、車に轢かれるかもしれない亀を助けたのだ。思わず、「神様、あの亀を助けた方を救ってあげてください。」と心で祈った。陸亀?にとってはやりすぎだったかもしれないが…。
通常、キリスト教会では十字架の救いを語る。どんな極悪人でも、人殺しでも、死の間際にイエス様を信じれば天国に行けると。反対に、地上でどんなに良い行いをした人でも、イエス様を信じなければ義とされず、地獄に行ってしまうと。そして、福音を語ることがとても難しいことのように思ってしまう。
歩きながら、果たしてこういう伝道アプローチでいいのだろうか、と考えた。あのおじいちゃんに「良いことをされましたね。神様も喜んでおられますよ。あと、何か困ったことがあったら、『イエス様、助けてください』と祈ったらいいですよ。」と言ってあげれば良かったのかもしれない。そうすれば、何か良いことをする度に神様を想うだろう。また、何か困ったことがあったとき、試しにイエスの名を呼ぶかもしれない。「主の御名を呼び求める者は、だれでも救われる」(ローマ10・13)
これまで、日本のプロテスタント教会においては、クルセード形式でメッセージの最後に招きの時を持ち、そこで信仰の決心を迫る、あるいは「四つの法則」などを用いて神・罪・救い・永遠のいのちを一気に伝え、決心を促す、というのが一般的な伝道スタイルになってきた。それはそれで一定の成果を上げてきたと思うのだが、果たして短い時間で「十字架の愛」をどれだけ理解できるのだろう、とも思う。
さらに、クルセード形式、伝道集会形式では、信徒の役割は、友人知人家族を会場や教会に“連れて行く”ことになり、あとは牧師、伝道者にお任せするというかたちとなる。しかし、人はなかなか教会まで来てくれないので、コンサートをしたりバザーをしたり、演劇で人を集める。これも準備が大変だ。
一つご提案したいのは、「主の御名を呼び求める伝道」である。私が亀のおじいさんにできなかった伝道。これを、家族や友人に「今まで何か祈ったことある?」と聞いて、「今度は、イエス様の名前で祈ってみて」と勧めてみるのだ。後は、聖霊がその方に働いてくださるだろう。教会に連れていく前に主イエスの元に連れていく、誰でもできる伝道だ。
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