舟の右側
地引網出版
キリスト教雑誌 舟の右側

ワイチローの取材日誌

リバイバルジャパン取材日誌

クリスチャンと「戦争」の関係

更新日:2025年8月26日

もう20年ほど前のことだが、韓国に取材に行った折、あるクリスチャンの青年に「もし北朝鮮が攻めてきたら、あなたはどうするの?」と尋ねた。彼は、この人は何を言っているのだろうという顔をして「当然、戦いますよ」と答えた。教会でも熱心に奉仕をしている福音的な信仰を持つ青年だった。聖書から戦争をどのように理解しているのか、そこまでは聞かなかったが、韓国も台湾も全ての成人男性に兵役義務を課していて、ほとんどのクリスチャンがそれに応じている。

戦後の日本のキリスト教会はというと、リベラル派も福音派も押しなべて「反戦・非暴力主義」の立場で進んできた。戦時中の天皇崇拝・神社参拝・戦争協力のすべてが悪かったと神の前に悔い改め、またアジア諸国に謝罪して戦後を歩んできた。日本人牧師が韓国の教会に行って土下座をして謝罪するということも繰り返された。また、憲法9条も一つの旗印になった。聖書からは、「殺すなかれ」「右の頬を打たれたら、左の頬も向けなさい」などの聖句が反戦・非暴力主義の裏付けとされた。

同じクリスチャン、キリストをかしらとする神の家族であっても、日本ほど国全体のクリスチャンが反戦・非暴力に立つ国は、ほぼ無いと言える。それは、先の戦争を深く反省した結果なのか。それとも憲法9条という理想的な旗印を与えられたことで、それを手放さないように頑張っているからなのか。あるいは、これが最も願わしい形だが、聖書から反戦・非暴力の神学を熟考し、皆がそれに同意しているからなのか。様々な可能性を考えながら、自分たちの立ち位置を見直すことが必要だ。

個人的には、先の戦時における天皇崇拝と神社参拝は間違いであったが、戦争協力については判断が難しいと感じている。先の二つは神に対する罪であるが、戦争協力については、それ自体が罪なのか、あるいは、「あの戦争における戦争協力が罪だった」のか、という二つの問いが生じる。もちろん、反戦・非暴力の立場に立てば、それ自体が罪となるが、他国のクリスチャンがどのような思いで従軍したり徴兵に応じているのかを学ぶ必要もあるだろう。「舟の右側」2025年9月号の特集も、そのような思いで組んでみた。

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