舟の右側
地引網出版
キリスト教雑誌 舟の右側

ワイチローの取材日誌

リバイバルジャパン取材日誌

6月20日

更新日:2010年6月20日

「今日は何の日か知ってるか?」

食事時、子供たちに訊いたら、「わかってるよー。父の日だろ」と、もうプレゼントは買ってるよ、という顔をしている。

「それもそうだけど、もっと別の意味があるんだ。何でしょう?」とクイズ。

「お父さんとお母さんが初めてデートした日!」「プロポーズした日!」など、好きなことを言っている。

正解は、私と妻が初めて出会った日だ。

当時私は、救われて間もない頃だったが、牧師と共に統一協会員の脱会活動に携わっていた。そこに彼女が、広島から連れて来られたのだ。授業の合間の休み時間、大学の構内で親族によってワゴン車に詰め込まれ、一路、大阪・高槻市まで。無理矢理連れて来られたこともあって、何とも言えない顔をしていた。

「えー、そんな感じで出会ったの? 最悪じゃん!」と息子。

確かに、普通交際を始める男女の出会いというのはそんなシリアスなものではないし、あってほしくない。雨宿りに入ったら可愛い女の子がいたとか(♪それはまだ私が神様を信じなかった頃?)、海を見に行ったら向こうに座っている女性の麦わら帽子が飛んで来たとか(♪ママー・ドゥ・ユー・リメンバァー)、春色の汽車に乗ったら横に座った女の子が頭を持たせかけてきたとか(♪赤いスイ?トピイー)、まあそういうものを期待する。

そこから何で20歳そこそこの私が統一協会員の脱会活動をしていたのか、また統一協会とはどういうところなのかを説明することとなった。

「文鮮明という韓国人がな、自分がキリストだと言って、それに付いて行った人が沢山いたんだ。その人はな、イエス様の十字架は失敗で、自分こそが救い主だって言ったんだ」

「えっ、なんでそんなこと信じる若者がたくさんいたの?」

「うーん、当時はバブルの走りの頃で、社会全体がお金中心で周っててな。真面目なことを考える若者の行き場所がなかったとも言えるな。それと…」

私自身も19歳で統一協会に入ったわけだが、辞める辞めないで家族が大変なことになった。心理的にも追い詰められ、「心が引き裂かれる」という言葉をリアルなものとして感じた。本当に心が壊れそうだった。両親の心も体もボロボロになっていた。私は就職の機会を逃し、父親は胃潰瘍から来る下血で死の寸前まで行った。

しかし、当時を振り返って、統一協会の悪行だけを責め立てる気はない。入った責任は私にもある。私はマインドコントロールされた被害者だ、などと言うつもりもない。

あれから26年。人生はまさに選択の連続だった。住む家、就職する会社、引越し先の所属教会、会社の設立、社員の採用や解雇…、そのすべてに選択の責任というものが付いて回った。結局のところ、大人になるというのは、その選択と判断の責任を自ら引き受ける(つまり人のせいにしない)ということなのだろう。

また神は、青年時代に大変な間違いを選択をした私を憐れんで、脱出の道を備えてくださった。そしてクリスチャンになった後も、何度か間違った選択をしてきたのだが、その度に、愛ある鞭と杖で義の道に導いて下さった。

「責任」というのも、この大きな神の手の中で立てる心の構えと生き様に過ぎないとも言える。しかしそんな頼りなげな人間の責任であったとしても、それをもって生きようとするからこそ神の愛と憐れみがリアルに分かり、そこから感謝する心も生まれてくる。 そして幾ばくかの成熟も与えられる。

今日は父の日。天の父に、心いっぱいの感謝をしたい。

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